(Vol.14からの続き)
知的障害のある次女はどのようにグァムを楽しんだのでしょうか。
おそらくこの娘が一番グァムを堪能していたように思います。まず空港に降り立ち入国審査を経て税関では、係員が次女ににっこり微笑み、楽しんでねと声をかけてくれました。さらに旅行会社のカウンターに近づくと、スタッフが一斉に手を振り口々に挨拶するので振り返ると、それは後ろにいる次女に向けられていました。こうして次女に対して誰もが親切かつフレンドリーな3泊4日の旅が幕を開けたのです。
次女は中学生の時に外国人の講師から学んだ英語の中から、ハーイ、ハーヤーユー(How are you?)を連発し、周りの人たちに声をかけ、皆にこやかに答えてくれるので、さらに声をかけるの繰り返しで大満足。
信仰の違い?文化の違い?次女に対する温かいまなざしが家族である私たちにも注がれて、日本にいるときに常に潜在意識の中にあるストレスをまったく感じることなく過ごすことが出来たのです。日本で感じているストレス、それは容赦なく注がれる不躾な視線です。私はそれを流していますが、長女はにらみ返しているようです。もちろん次女本人も十分感じる視線です。
滞在中も、ある日本人観光客の子どもに、やはりジロジロ見られることがありました。次女はかなりリラックスしていて、常同行動もなくごくごく一般的なのに「それでも分るんだね」と、逆に感心しながら長女と話しました。日本人は少しでも一般的でないとそれを奇異に感じ否定する。次女が声をかけても無視するか引いてしまう人がほとんどです。国民性の違いでしょう。このグァムのように誰にでも優しい社会はまだまだだと感じます。
私と長女がスカイダイビングを楽しんでいる間、次女は次女で嬉しいことがありました。日本で予約をしたときに知的障害者がいることを告げて、一つだけ確認されたことは、ホテルまで、あるいは着陸地点まで送迎するワゴン車のステップが高いが、大丈夫かということでした。問題ないと答えましたが、いざワゴン車に乗り込むときには予想外に高く、私でもあらよっと言う感じ。次女も乗り込みましたが、降りるときには何と、可愛いルックスのグッドボーイが抱き上げて降ろしてくれました。毎回次女の為にわざわざ待ち構えていてくれるので、次女はウキウキ大喜び。24歳の乙女です。たまにはそういうことがあってもいいよね。
海で浮き輪にはまって漂う表情も何とも言えず力が抜けていて、ゆったりまったりトトロのよう。私も次女も心から嬉しくて幸せな時を過ごしました。